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7月21日に「自らも視覚障害者である開発者が語る Webアクセシビリティ自動評価ツール「WAIV」セミナー」を開催しました!


こんにちは、U’eyes Designデザインアウトカムズ事業部、WAIV開発者の諸熊です。

【7/21 オンライン開催】自らも視覚障害者である開発者が語る Webアクセシビリティ自動評価ツール「WAIV」セミナー にて登壇、講演を致しました。 ご参加下さった皆様、本当にありがとうございました。

「自らも視覚障害者である開発者が語る Webアクセシビリティ自動評価ツール「WAIV」セミナー」バナー表示

初めての体験

毎年、ウェブアクセシビリティ基盤委員会(WAIC)の主催するセミナーや、学会、研究会で発表する機会はあったのですが、当社主催のセミナーでの登壇は初めてでした。

また、「自身の経験について、時間を割いて語る」という体験も初めて行いました。 従来のセミナーでは、「プロフィールは短くまとめて本編に時間を多く充てることが好ましい」と言われていました。だから、それを忠実に守ってきました。 しかし、現在のチームメンバーとの相談を経た結果、「ウィズコロナへ向けて変革を推進する今だからこそ、個人の体験を開示することに価値がある」という結論に至り、今回、思い切って開示してみることにしました。

最近は、「個人のプロフィールを挙げながら緩く語るセミナー」も増加しているそうです。「会場や相手の顔を伺いながら講演する」スタイルの実施が困難となる中で「より親近感と理解を深めてもらう」試行錯誤の現れなのかもしれませんね。

また、「現在の視覚障碍者が自力でできることの限界」を示す目的で、資料は、 Microsoft word にて作成したものをそのまま使用しました。その点では、「想像力と内容」をフルに働かせる60分になったのかな?と思います。

資料を事前配布

今回のセミナーでは、資料を事前にダウンロード頂けるようにしました。 これには、2つの目的があります。一つめの目的は、「人によって読みやすい要件が違うのだから、読みやすい環境で読んでもらった方が幸せ」です。そして、もう一つの目的は「事前に資料を読み込むことができれば、セミナー中は発表や質疑に集中できるので、時間を効率的に使える」です。

私も、外で開催されるセミナーを受講する時は、いつも、事前の資料提供を要望しています。セミナー中に表示される画面は「全盲だと見ることができない」ですし、セミナーを受講しながら、資料のテキストを読み込むことも容易ではありません。だから、「事前に資料を読み込んで、セミナーでの学びを最大化したい」と考えて臨んでいるのです。

後から知った話ですが、Zoomで画面共有をすると、画面全体が映らないのだそうです。私は、「画面全体が映っているもの」と確信して講演をしていたのですが、実際には、「カーソルがいつも下にあって、スクロールして出てきたことについて述べていた」そうです。 それをどうにかする設定があるのか、人によるのかはわかりませんし、自力で確認することもほぼ不可能です。ただ、「事前に資料を共有」しておいたことは有効だったと思います。

アクセシビリティの悩みはいろいろ

講義では、「自身の体験」、「アクセシビリティを向上させるための考え方や技法」、「アクセシビリティ評価の不便を解決するために取り組んだ体験」を紹介しました。 これに対して、質疑では、アクセシビリティに取り組まれる際の悩みを中心にお寄せ頂きました。また合わせて、自動評価ツールであるWAIVに関するお問い合わせも頂きました。

今回、ウェブアクセシビリティのセミナーとしては毛色が違うものだったのですが、ご参加いただいた方と多くの交流を行なうことができました。この活動に関心を寄せて頂いた方が本当に多かったのだと、直接感じることができて、開発者としてとてもうれしいと思っています。

オンライン上で、説明資料の「開発秘話」ページを見せながら解説する講師の諸熊。
▲ セミナー開催の様子

最後に、質疑でお答えできなかったことや、資料に含めるべきだったQ&Aをこちらに残します。

Q.視覚障碍者は、パソコンやスマートフォンをどうやって操作するのか?

A.弱視、色覚障害、ロービジョンなどの方は、「拡大鏡」や「ハイコントラスト表示」など、パソコンやスマートフォンに搭載されている補助機能(業界では「支援技術」と呼ぶ)の支援を借りて操作を行なっています。一方、全盲などの重度視覚障碍者は、操作の結果を音声や点字でフィードバックする「スクリーンリーダー」と呼ばれる補助機能の支援を借りて操作を行なっています。なお、スクリーンリーダーを含む補助機能は、最近のパソコンやスマートフォンに最初から搭載されている他、より使いやすい製品がサードパーティベンダーより提供されています。

Q.スマートフォン向けアプリを対象としたアクセシビリティの自動チェックツールはあるのか?

A.アプリがHTMLなどのウェブページを介する場合は、既存のウェブサイト向けのチェックツールでチェックすることができます。そうでない場合は、アプリの統合開発環境、または、開発者ツールの中に備えられているアクセシビリティチェック機能を用いてチェックすることができます。しかし、どの程度チェックができるのかは私にもわかりません。一般には、「コントラストの不足」や、「アイコン、ボタン等に説明テキストが無い」など、共通の配慮事項がチェックできる一方で、「説明テキストが適切か否か」といったチェックはできないようです。加えて、一部の開発環境は、このチェックを回避するために、「IMG001」など、無意味な説明テキストを埋め込む機能が備わっているようです。このような解答になる理由は、統合開発環境そのもののアクセシビリティ対応が発展途上にあるため、私を含めた視覚障碍当事者が、その有効性を十分に調査できないためです。

Q.これからアクセシビリティに取り組むための一般的なドキュメントはあるのか?

A.JIS X 8341-3の関連文書を含め、一般的なウェブアクセシビリティの向上に関する文書は、「ウェブアクセシビリティ基盤委員会」のウェブサイトで公開されています。それとは別に、WAIVには、「ウェブサイトを使いやすくする」ためのドキュメントが含まれているので、それをお読み頂くことでも、情報を得ることができます。

今回のセミナーやWAIVについて、お気づきの点などありましたら、お気軽にお問合せ下さい。


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