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「自分事」のテーマはどこにあるのか ~イノベーションの第一歩~


少し前のことになりますが、3月23日(火)に、ドコモ・イノベーションビレッジさんにコーディネートいただき、『成熟社会における生活イノベーションの創出』というテーマで、全3回シリーズのセミナーを開催しました。

わたしたちデザイニング・アウトカムズ研究所は第2回「社会動向の洞察から導くアウトカム設定」を担当しました。

そこでご紹介した、ある自動車会社で安全装置の開発に携わっているAさん(仮)のエピソードを、ここでも共有したいと思います。

 

Aさんは、何万件もの事故に関するデータを分析したり、高齢者の運転に関する認知特性や、ブレーキとアクセルの踏み間違え事故について研究したりしてきました。
そんなAさんは、あるとき、ご高齢のお父さんに免許を返納するよう促しました。たくさんの事故データを知っているので、高齢者をいつまでも公道で運転させることはできない、と、危険を知っているからこそ当たり前のように思っていたのです。
その結果、それまで元気で活動的だったお父さんが、免許返納をきっかけに元気がなくなってしまい、ふさぎ込んでしまうようになりました。
自分の意志で好きな時に出かけることができなくなってしまったお父さんは、生活が大きく変わってしまったからでしょう。
その様子を実際に見て、Aさんは、免許を返納するということ、これまでずっと乗っていた車に乗れなくなるということが、高齢者にとってどういうことなのか、ようやく初めてわかったそうなのです。
これまで何万件もの事例を見てきたにも関わらず、本当の意味で理解できていなかったのだと、深く感じたそうです。
そして、なぜ自分は、父のような高齢者のための自動車をそれまでに作っていなかったのか、と懺悔にも似た、申し訳ないような気持になったそうです。

 

 

 

いかがでしょう。
人は、どれだけたくさんの情報を見聞きしても、客観的な立場からでは課題として認識できないのです。
たまたまAさんは、非常に身近な存在である自身の父親の変化を見る機会があって、それで初めて心から共感し、理解することができたのです。

またAさんは、自動車の開発者だったからこそ、「私がこの課題を解決せずに、だれに解決できるだろう」という、使命感のような強い気持ちが沸き起こったのだと思います。
自分が解決する必然性を感じたのです。

その後Aさんが、どんなモノ・サービスを開発してるのかはわかりませんが、きっと強い思いを原動力として、この課題の解決を目指して取り組まれていることと思います。

 

イノベーションを創出するには、社会動向の洞察を通して今の時代の潮流をとらえ、その中から自分自身が「何としてでも解決したい!」と、使命のように思えるくらいの、自分事の課題(テーマ)を見つけることが第一歩だと我々は考えます。

そして、そのように思えるテーマは、社会動向を客観的に眺めていても見つかりません。
テーマは、自分の外側(社会)ではなく、自分の内側にあるのです。

 

セミナーでは他にもいろいろお伝えしたのですが、ブログではこのへんで。
またセミナーの機会がありましたら、お知らせしますので、興味をお持ちいただけましたらぜひご参加いただけると嬉しいです。


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