9月21日 「スマートスピーカーと4年過ごした視覚障害者が語る、つながる家電と未来」を開催しました
U’eyes Designの諸熊です。
9月21日に、オンラインセミナー「スマートスピーカーと4年過ごした視覚障害者が語る、つながる家電と未来」を開催しました。ご参加頂いた皆さま、ありがとうございました。
テーマは「生活体験」
今回のセミナーでは、「私自身が4年間付き合ってきたスマートスピーカーとの生活を語る」という、特定の利用シーンにおける体験をご紹介しました。
ビジネスを推進する立場、あるいは、開発や研究を行なう立場からすると、「スマートスピーカーや、その要素技術であるAIや音声認識で、どのようなことができるか?」に関心が向きやすいです。そのようなテーマのイベントは、これまでさまざまな場所で開催されてきたからです。
しかし、製品やサービスを継続的に使ってくれるユーザーを獲得する、あるいは、将来の運用も見据えた製品、サービスを設計するためには、以下に挙げる観点についてシナリオを描いておくことも必要です。
- ユーザーの利用目的、利用方法、及び、利用の結果得られる価値
- 上記の実現に至るまでの過程 (製品やサービスとの生活体験)
私自身は、スマスピとの4年間の生活を通して、聞いたことのない音楽に数多く触れ、そして、以前よりも家電や社会動向に関心を持つようになりました。LINEを始めたきっかけもスマスピからだったりします。
将来に期待することは「つながる」、「たすける」、「成長する」
私は、将来のAIや家電、サービスに期待することとして、「つながる」、「育てる」そして、「成長する」という3つの要素を挙げました。
つながる
スマートスピーカーが「スマート」であるポイントは、他社サービスを含めさまざまなサービスと連携することで、製品単体ではできなかったことが実現できることにあります。
例えば私は、「探し物トラッカー」の機能とつなげることで、「持ち物確認」を実現しました。音声で呼びかけると、トラッカーを装着した財布などが音を鳴動して居場所を知らせてくれるので、必需品の持ち出し忘れを防げるのです。
たすける
当たり前のことですが、製品やサービスを使う目的は、「自分でやると大変なことを助けること」です。さらに私の場合、身体障碍があるため、助けて欲しいことの範囲が健常者よりも多くあります。
実は当日、部屋の蛍光灯をOFFにしたままセミナーを実施しており、途中でスマスピに頼んで蛍光灯を点けてもらいました。
私は蛍光灯の状態を自分で知ることができないため、真っ暗な中で仕事をしていたり、蛍光灯を消し忘れたりします。そんな問題を解決することができたのは、スマートスピーカーのおかげです。
成長する
最後に私が期待していることは、「成長する」ことです。この成長には、「製品やサービスがユーザーに合わせて進歩する」ことと、「ユーザーが製品やサービスと触れ合う中で学び、育つ」ことの2つの視点を含んでいます。なぜならば、人は、新しい知識の発見や探究に喜びを見いだせるからです。
前者は、製品やサービスが新しい機能を搭載したり、新しい製品やサービスと連携できたりするアップデートによって能動的に実現できます。また、ウィズコロナ生活のように、利用状況の変化によって受動的に実現されることもあります。
一方の後者を実現するには、「ユーザーが継続的に使い学ぶ」土壌と体験を設計することが重要です。例えば、初めて使うユーザーが使い方を正しく理解できるよう、ヘルプやチュートリアルを整備することが対応策の一つです。
さいごに
今回のセミナーのダイジェスト動画を弊社YouTubeチャンネルで公開しました。宜しければご覧ください。
また、毎週木曜日に開催している「諸熊浩人のアクセシビリティなんでも相談室」では、今回のセミナーのことも含め、アクセシビリティや障碍者に関することを一対一でご相談頂けます。ご活用頂ければ幸いです。