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何てことない普通のまちの、しあわせについて考えてみる①


デザイニング・アウトカムズ研究所のデザインリサーチャー、中西です。

昨年秋ごろから、株式会社 小田急エージェンシー(以下小田急エージェンシーと表記)と一緒に鉄道沿線のまちづくりを考える協業プロジェクトを行っています。

今回の研究対象は小田急沿線、特に各駅停車しか停まらないような小さめな駅。 我々はこういう駅を「中間(ちゅうかん)駅」と呼んでいます。新宿や新百合ヶ丘、のようなディベロッパーが投資して発展させてきた主要駅ではなく、駅前にはチェーン店が少しあるくらいで、あとは駅前商店街がちょっとあるくらい、という駅に注目しています。

小田急線中間駅のホームの一例

デザイン会社が、なぜ、まちづくりをしているの?

我々U’eyes Designはデザインコンサルティング会社、一緒にとりくんでいる小田急エージェンシーさんは小田急グループの広告会社。なぜ、まちづくりのプロでもない我々が、中間駅という目立たない場所で活動をはじめたのか、不思議に思う方もいらっしゃると思います。まちづくりといえば、行政、もしくは大きなディベロッパーさんがやってらっしゃるイメージありますよね。我々はそのような大型のまちづくりプロジェクトでは対象にできていない、見落とされている部分に課題意識を持っていました。ちょっと順を追って説明します。

注目されない中間駅で何が起こっているのか

主要駅って、大企業のオフィスも、大きな商業ビルも集まってくる。新宿とかそうですよね。そうすると、そういう駅へ、みんな仕事のときも遊びのときも出かけるようになる。マーケティングの思考でみてみると、主要駅に大きな投資を行う方が、分かりやすく収益をあげられる。そうすると中間駅に回される投資はなくなり、かつて住宅地として開発された地区も、当時のまま手が加えられずさびれていく。小田急エージェンシーさんと私たちU’eyes Designも、職場と家との往復になってしまっている多くの生活者の日常と、地域の在り方について課題意識を持っており、しあわせなまちとは何だろう、何かできないのだろうか、という部分で共感しあい、今回のプロジェクトはスタートしました。中間駅が、生活者の日常に寄り添い、安心できる場所として存在しているだけでも、日々のしあわせって変わってくると思うのです。

サービスの受け手から、自分たちも動くまちへ

まちに大きな投資をせずとも盛り上げ、そしてその盛り上がりが、まちの生活者に合ったものにするにはどうしたらいいのでしょうか?議論を交わしていく中で我々が見つけたのは、地域の生活者も一緒になって活動していけるまちづくりの必要性でした。つまり、行政や企業のサービスの受け手であったまちから、住人たちが動いていけるまちにしていきたい。そのためには私たちも、今までのマクロな視点から生活者のミクロな視点へ見方を変えていかなければならないし、そのためには地域ともっと長期的なつながりを持ち、まちの本質と向き合っていかなければならない、と考えました 。

実はたくさん取り組まれている小さな地域活動

前置きが長くなりましたが、まずは同じように地域の生活者が一緒になって取り組みを行っているものはないかな~ということで先行事例をメンバーでチェックしました。個人的な活動から、企業として行われている活動まで様々。派手な内容ではないので、なかなかネット上では見つけにくかったりしましたが、以下の団体の方のページに助けられたので、ご紹介しておきますね。

Studio-L(http://www.studio-l.org/

issue+design(https://issueplusdesign.jp/

NPO法人グリーンズ(https://greenz.jp/

あとはメンバーの地元や現在の居住地でのチラシやイベントから情報をもってきたり、駅においてあるフリーペーパーをもらってみたり…と地道な情報収集を行いました(笑)。合計約40件のまちづくりや地域活性の事例が集まりました。 地域の生活者と一緒になって、継続的に活動を行い、活性化に貢献できている事例の特徴は何だろう?我々がこれから地域と取り組むうえで踏まえるべき内容を考察していきました。そうすると、これから活動を作っていく中で、地域の生活者にとって以下の4つの点を満たさなければ、「自分たちも動いていこう」という気持ちにならないのではないか、というのが見えてきました 。

①人:自分事として取り組めるコアメンバーが存在すること

②場:思い入れを持って活動できる土地であること

③資源:活動に使える時間・モノ・金・スキルを明らかにすること

④目的:自分たちにとってうれしい、有益なゴールがあること

イメージしやすいように、この4つが揃わなかったときのイメージも作りました。辛い未来だなあ…。でもこういう地域の生活者とのかかわりが作れていない「地域活性化!!」的なの、よく見かけますよね…。

足を動かさないと何も始まらない

踏まえるべきポイントが上記のように明らかになりました。その前から薄々感じてはいたのですが、プロジェクトメンバー(小田急エージェンシーとU’eyes Design計5名)中で「このまま我々だけで話を続けても無駄だ!」という意識が確信に変わりました。というのも、残念ながら今回のプロジェクトメンバーは、小田急沿線に現在住んでいるわけではありません。そのため各駅しか停まらない駅って実際イメージがわかない。どんな地形?どんな人が住んでいる?どんなものがある?知らないことだらけで、何より今回対象とする地域を肌身として感じられていないのです。そう、我々も残念ながら地域の実情を知らない典型的なやつらだったのです…。 「このままじゃダメだ!」というわけで、実際にメンバーで視察へ向かうことにしました。大袈裟ですが、真のまちづくりメンバーとして、自分たちがまず生まれ変わらないといけない!(笑)その手始めとして、半日×2回で5つの駅の周辺を見て回りました。この詳細については次回ご紹介します。


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