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MAツールの利用実態を分析し、
営業DXの実現に向けた改善策を提案

ユーザーとの対話によって課題の解像度を高め、

本質的かつ現実的な「次の一手」を提案

概要

DXは、今や企業活動において必須のテーマ。様々な業界や業務に特化したツールも登場しており、AIの実装などによって機能面での高度化も進んでいます。しかし、多くの企業がDXを推進する一方で、「せっかくDXツールを導入したのに、現場に浸透しない」「従来のアナログ手法が根強く残り、データが集まらない」といった声もよく耳にします。

 

こういった問題を解決するには、どうしたらいいのか?
私たちは、その背景にある要因として、「DX=ツールの導入」と捉えてしまいがちであること、そして、「人=従業員」の視点が十分に組み込まれていないことが、DXの定着を妨げていると考えています。

ITツール活用のイメージ画像

ITツールは、導入するだけで経営や業務を変革してくれる「魔法の杖」ではありません。ツールはあくまで「道具」でしかなく、主役は道具を使う「人間=従業員」。DXを実りあるものにするには、使う人の事情や気持ちを考慮し、それにマッチした仕組みや運用体制をつくることが非常に重要です。

DX推進の主役は「人間=従業員」。この考え方に基づいてU'eyes Designでは、MAツール※の活用に関して課題を感じておられたタカマツハウス不動産株式会社様の現状調査および改善提案を実施。人間中心の視点で本質的なボトルネックを浮かび上がらせるとともに、課題を根本から解決するための「次の一手」をサポートしました。

 

※MA(マーケティングオートメーション)ツールとは、見込み顧客の獲得から育成、営業部門への引き渡しまでを自動化・効率化するマーケティング支援ツールのこと。

ポイント

  • 幅広いセグメントのユーザーと対話することで、高解像度で現状を把握 
  • ツール操作などの作業的な障壁に加え、心理的な側面からも課題を抽出
  • ステークホルダー全体を俯瞰し、DX推進に向けた好循環構築への道筋を提案

プロセス

タカマツハウス不動産株式会社様「DX運用度診断」

東京都の城南エリアを中心に地域密着で不動産事業を展開する「タカマツハウス不動産株式会社」。営業業務を主軸とする同社では、顧客管理の効率化や休眠顧客の掘り起こしなどを目指し、2021年にMAツールを導入しました。その後、2025年に営業強化のための体制見直しを進める中で、MAツールの活用に関して「はたして、本当に有効に活用されているのか?」という疑問が浮上。実態を正確に把握すべく、活用状況の調査と運用度の評価を弊社にご依頼いただきました。

STEP1:インタビューと作業デモによって活用状況を確認

U'eyes Designでは、システムやアプリケーション、プロダクトの開発・改善をサポートする際、ステークホルダーに対するインタビュー調査を行い、その言動から隠れた真意を汲み取ることで、より現実的かつ人間本位の機能やインタフェース、デザインなどを導き出します。今回のケースでも、MAツールを活用する上でのボトルネックや活用促進に繋がるヒントを探るため、人間中心設計のスペシャリストによって関係者へのインタビューを実施しました。
より現実に近い形で状況を把握するために、クライアントと協議の上、幅広い視点(社歴や年齢、担当業務、営業成績ツール活用度など)でインタビュー対象を選定。

  • 顧客管理業務の実状(どのような業務を、どのようにして実行しているのか?)
  • MAツール活用の実態(どのような場面で、どのように活用しているのか?)
  • 業務遂行における課題(業務とツールのミスマッチは?)

といった観点でヒアリングおよび作業デモの観察を実施しました。

ステークホルダーそれぞれの意識や活用実態を調査

STEP2:人間中心視点で現状を考察し、ボトルネックを顕在化

インタビューの結果から、大きく2つの課題が浮上してきました。


1つ目の課題は「現場の営業スタイルとのミスマッチ」です。
顧客管理においては、顧客とのコンタクト状況や商談の進捗などをタイムリーに把握し、最適なタイミングで次のアクションにつなげていくことが大切です。しかし、MAツールの仕様・設定のミスマッチや操作方法の周知不足などが足かせとなって、「余分な手間や時間が発生する」「見たい時に、見たい情報が見られない」などの問題が発生。その結果、使い慣れた従来の管理方法(表計算ソフトなど)からMAツールに移行するメリットや必要性が感じられず、活用が進まない要因となっていました。


営業スタッフとしては、売上向上が最大のミッションであり、「新しいツールを使うために余分な時間を費やすくらいなら、一人でも多くの顧客にアプローチしたい」という気持ちを抱くのは当然のこと。機能や操作に関する障壁に加え、こういった心理的な障壁も非常に重要な課題といえます。特に、多くの顧客を抱えるトップセールスマンにこのような傾向が見られました。

ステークホルダーに対するインタビュー結果

2つめの課題は「MAツール活用の目的や意味の浸透不足」です。

ツールの機能や操作方法に関する問題以上に、じつはこの点が非常に大きく、MAツールの活用が進まない根本的なボトルネックと考えられます。
そもそも人間には、多かれ少なかれ「変化よりも現状維持を望む」という傾向があります。そういった気持ちを変えるには、「なぜ変化しなければいけないのか?」「変化によって、どんなメリットが得られるか?」をジブンゴトとして理解してもらうことが重要です。しかし、インタビューの結果、そのあたりの意識が十分に浸透しきっていないことが判明しました。


MAツールの導入意図としては、個々の営業スタッフの活動状況を集約・可視化し、チームや部門、会社など“組織”として顧客をマネージメントしていくことで、会社全体のパフォーマンスや利益を向上させたいという狙いがありました。しかし、そういった目的に対する理解が十分に浸透していなかったため、「今のやり方で自分は十分に売上を上げられているんだから、新しいツールを使わなくてもいいでしょ」という状況が発生。ツールが活用されなければ、当然、データが蓄積されず、DXも組織的なパフォーマンスUPも進みません。そのような状況では、個人に対しても、組織に対してもメリットが生まれず、その結果、従来の管理方法が継続される……というスパイラルが発生していたのです。

MAツールの活用が停滞

STEP3:ユーザー視点×管理者視点×経営視点で改善に向けた具体策を提案

MAツールの活用にまつわる現状のスパイラルを、いかにして好循環へと変えていくか? 機能や仕様のミスマッチだけなら、ツールの刷新よって解決できるかもしれません。
しかし、今回のケースでは「やるべき業務を多く抱える中で、意図が明確でないまま利用している」という状態こそが最大かつ根本的な課題であり、そこをクリアしなければ、たとえツールを刷新しても好循環は生まれないと私たちは考えました。
そこで今回の改善提案では、現状のツールを維持したまま好循環を生み出すという方向性で方策を組み立てました。

改善に向けた考え方と方策

改善提案の原点であり最も重要なポイントが「Why」の部分。組織としての目的と、個々の従業員にとってのメリットを、日々の業務に則して伝え、ジブンゴトとして理解してもらうことが好循環の出発点となります。また、MAツールを使用する必然性(メリット)を明確にすることは、新しい管理手法に対する心理的な負担軽減にも貢献します。

診断・提案後の現在

タカマツハウス不動産様では現在、今回の「DX運用度診断」の結果をベースに、MAツールの運用体制の見直しに着手。日々の営業プロセスの中で、「どのような場面にMAツールを介在させるか?」 といった仕組みの部分から再検討をはじめたほか、多忙な営業スタッフの気持ちを汲み取り、「データ入力の負荷を、いかに分散させる?」といった人間視点での改善策も検討が進んでいます。

担当コンサルタントからのメッセージ

DXというと、まず「どのツールを入れようか?」と考えがちです。しかし、まず考えるべきは、各種業務プロセスの「どこを可視化したいのか?」「どこを効率化したいのか?」「どこを改善したいのか?」というところです。会社や部門の視点でのやりたいことと、現場のスタッフのやりたいこと、双方を擦り合わせて体制や業務フローを組み立てる。そして、そのプランが最も効率的に回っていく仕組みを考え、それに沿ってツールを選んでいくというのがDXを成功させる基本的な道筋です。従来の方法の方が効率的な部分があれば、そこだけ現状を維持してもいいかと思います。実際、タカマツハウス不動産様の事例でも、そのような観点を盛り込んで改善策を考案しています。
こういった人間中心での考え方は、導入済みのITツールの活用度を高めたいという場合にも有効です。ツールを導入したにもかかわらず、社内のDXが思うように進まないという場合は、ぜひ「DXの主役は『人間=従業員』」という視点に立って、目指すべきビジョンと現場の業務プロセスやツールの運用実態を照らし合わせてみてください。
現場の従業員の作業実態はもちろん心理的な負荷にも耳を傾けることで、ボトルネックとなっている課題や有効活用に向けたヒントがきっと見つかるはずです。

プロジェクトリーダー

コンサルタント

人間中心設計専門家

竹中薫

人間中心設計専門家 竹中薫

クライアント名
タカマツハウス不動産株式会社
メンバー
竹中薫
タグ
プロジェクト

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